2学期になっても、新型コロナウイルスの感染状況は改善されませんでした。
勤給事態宣言が発令されて開始された2学期でしたので、
またもオンライン授業になるかもと私は思っていたのですが、
勤務している学校では、通常授業にオンライン配信を併用という形式で授業が進められました。
これは、実技を主体とした授業を展開したかった私にしては幸運なことでした。
もしも、完全にオンライン授業となった場合、果たして子どもたちのモチベーションは維持できるのだろうか、
そして、私の意欲も維持できるのだろうか、
正直疑問だったのでした。
では、なにをしたのかですが、そこをレポートしていきたいと思います。
・音楽鑑賞を聞くだけで終わらせない
中学1年生の音楽鑑賞教材の定番は、ヴィヴァルディ/「四季」より『春』の第1楽章。
私は、この曲の鑑賞授業に2.5時間費やしました。
というのも、春以外の夏、秋、冬も抜粋で取り上げ、
弦楽器やチェンバロの学習も行ったので、
この時間数となりました。
ですが、これだけでもいい学習を生徒たちはしてくれたのですが、
引き続き、ヴィヴァルディの『春』の第1楽章冒頭部分を実技演奏することにしたのです。
幸運なことに、現在勤務している学校にはキーボードが15台保有してありました。
また、教育用ハンドベルも4台保有してあったのです。
これを使わない手はない、ということで、生徒たちにはキーボードとハンドベルの両方をこなしてもらうことにしたのです。
キーボード課題はハ長調に移調した平易なものを私が編曲してあるものを使用。
ピアノがよく出来る生徒用に原調のホ長調版も用意しました。
ハンドベルは原調のホ長調を使用。
クラス定員がほぼ30名というクラスだったので、キーボードを練習している時間とハンドベルをこなす時間を半々に編成しての授業遂行。
実技試験という形式は取らず、発表会形式で練習の成果を披露してくれましたが、
非常に楽しい時間を過ごすことが出来たのではないかと思っています。
実は、中学2年生以上は、ラヴェルのボレロを鑑賞して、その後にキーボード課題をしてもらいました。
こちらは、ハンドベル課題を課さなかったのですが、練習時間に暇を持て余したり、少々難しかったからか、練習のモチベーションが維持できない生徒もいたりと、やや課題を残しました。
ラヴェルのボレロも、いい課題なので、次年度はもう少し改良を加えての実施を考えます。
・シューベルトの魔王
こちらも中学1年生の音楽鑑賞教材として定番のものであります、シューベルトの魔王。
この曲、なぜか生徒たちが日本語で鑑賞した際、
「お父さん、お父さん」と連呼するところで、笑い声が起こることがしばしば。
さて、私はこの教材を2時間費やして、授業を展開しました。
ただし、通常ならばドイツ語による歌唱を聞かせるところでしょうが、私はあえて日本語版から聞かせることに。
作曲家のレクチャー、作品そのもののレクチャーをこなして、演奏も聞いて、ピアノ伴奏もレクチャーして、その後に生徒たちに課した課題は、
「歌詞を読んで、朗読劇をすること」
朗読劇は4人で1チームを基本としました。
発表の際、私はシューベルトの魔王のピアノ伴奏をちょっとだけ弾いて、劇を盛り上げることに。
いろんな発表があって、生徒たちは楽しんでくれましたし、
本当に素晴らしく上手な朗読をこなしてくれている生徒には、惜しみない拍手が贈られたり、いい時間でした。
発表をこなした後に、ようやくドイツ語での歌唱を鑑賞。
すると、生徒たちは歌詞の内容を朗読劇で把握していたからなのか、しっかりと聞いてくれていました。
これで、言葉の壁を越えても、歌曲を理解することが出来るツールが出来たかなあと思っています。
・中世からルネサンス時代を取り上げる
音楽史の学習は、せいぜいバロック時代からの学習がほとんどでしょうが、
NHKのEテレで放送の「classic TV」で合唱1000年の歴史を扱った番組がありました。
これを利用して、中世のグレゴリオ聖歌、その後のポリフォニー音楽を授業で取り扱いました。
この分野、さすがに難しさがあるので、高校1年生と2年生に限定して授業で取り扱いましたが、
番組出演者が人気ヴォーカルグループであったこともあって、興味深く学んでくれていたように思いました。
・オーケストラの楽器を学習
中学1年生と高校1年生に実施したメニュー。
オーケストラで使われている楽器を学習するという目的で1時間授業。
中学1年生はヴィヴァルディの四季の学習で弦楽器を学んでいたので、管楽器から打楽器についての学習に絞りました。
DVD教材が手元にありましたので、それを使用しての授業ということで、
このメニューは、毎年入学してくる生徒たちには有効なメニューと考えています。
・ストラヴィンスキーの「春の祭典」、再び
1学期に実験的に高校2年生の授業で取り上げたストラヴィンスキーの「春の祭典」、
中学2・3年生の教科書に掲載されていましたので、
勇気を持って、中学2年生と3年生に音楽鑑賞をしてもらいました。
メニューは高校2年生で使用したものと全く同じ。
さあ、どうなるかと思ったのですが、
案外、生徒たちはしっかりと学習してくれました。
特に中学2年生の一部ではツボにはまっていたようで、
次年度は聞かせなかった中学1年生と高校1年生に取り扱うこととなります。
実は、7月頃、私は2学期のメニューをどうするのか、全く構築できていませんでしたが、
使えるキーボードやハンドベルがあるということを知り、
感染対策に万全を期して、それらの楽器を扱うこととしました。
ただ、それらをただ使って遊ばせるだけでは少々勿体ないので、音楽鑑賞教材とのリンクをした次第。
この試みはいい結果を産むと思いましたが、次年度の中学3年生から高校生の3学年は、新たな曲を探さないといけません。
なぜならば、もう同じ曲を使うことが出来なくなるからです。
まだまだ、教材研究の時間は必要です。
そして、こんなことも思うように。
「もうリコーダーを廃止して、キーボードやハンドベルなどの器楽教育にシフトチェンジしてみようかなあ?」
ところで、3学期の最初のメニュー、すでに生徒たちには予告してあります。
それは「作曲」なのです。
どんなことになるのでしょうか。
このことについては、来年3月にはレポートをするつもりです。
2021.11.29
(2021.11.30 補筆)