最近、室内楽における第2チェロというパートに私自身の関心が高まっています。
第2チェロ?
「新しい楽器でもできたのか?」
なんてことはなくって、
弦楽五重奏以上の編成になると、チェロが2本となることが多くなりますから、
第2チェロというパートが出現するということです。
なんでそんなことに関心があるのかですが、
ここ最近、このパートをチェロではなくコントラバスで演奏するケースが多くみられるからです。
弦楽五重奏なら、シューベルトの作品で第2チェロをコントラバスで演奏というのがありました。
弦楽六重奏なら、ブラームスの作品が2曲ありまして、特に第2楽章が有名な第1番では多くあるようです。
個人的には第2番の作品でその演奏をみたいものですが。
あと、チャイコフスキーの作品「フィレンツェの思い出」でも見られました。
弦楽八重奏曲なら、メンデルスゾーンの作品でありましたね。
私の演奏活動で、上記の曲を演奏する体験を持ち合わせたことはまだないのですが、
第2チェロが持つ役割がコントラバスで演奏する適合性と関係するのでしょうか、
私の考えとしてはそれなりのメリットはあるものと思います。
ところで、チェロソナタといえば、
チェロとピアノが定番の編成。
でも、そうでないものもあります。
それがイタリアの18世紀のチェリストでもあり作曲家でもあった、
ルイジ・ボッケリーニ(1743-1805)のチェロソナタ。
彼のチェロソナタの楽譜を見ると、
チェロとピアノというものが一般的に見られることがやはり多いのでしょうが、
チェロ2台だけの楽譜もあるのです。
実は、バロック音楽時代の名残なのか、
チェロと通奏低音という考えで作曲されたことが考えられます。
また、和音を伴わない、2台のチェロのみの演奏スタイルもあります。
勿論、独奏チェロパートは、ボッケリーニがチェロ奏者だったことから、常に旋律を担当していて、伴奏的役割になるのが第2チェロとなります。
でも、この第2チェロが私にはおもしろいと感じてしまいます。
時々和音もありますし、オブリガートな動きも出てきたり、
たった2台のチェロだけでも、楽曲は立派に成立するのです。
そして「これ、案外コントラバスで弾いてもおもしろいんとちゃう?」
と思うことが昔からありました。
チェロとコントラバスによるボッケリーニ作品、案外歴史的な信憑性はあるかもしれません。
というのも、ボッケリーニのお父様はコントラバス奏者でもあったとのこと。
ひょっとしたら、親子で演奏したこともあったのではないでしょうか。
そんなことから、私が組んでいるデュオであります「Basso Cantabile」はこれまでにもボッケリーニのチェロソナタを取り上げてきました。
勿論、私が第2チェロを担当。
以下にその演奏履歴を紹介しますと、
・変ロ長調 G565
・変ホ長調 G10
・イ長調 G4
と3曲こなしてきましたが、
今年の11月23日での公演では、ト長調 G5をこなす予定。
いつも思うことですが、
「どうやって音色を作ろうかなあ」とか、
「和声感をどのように作ろうかなあ」とか、
「どんなアプローチで音楽を支えようかなあ」といったことを考えながら準備しています。
この準備の方法、これはまさにコントラバス奏者としての醍醐味。
まさに縁の下の力持ちの楽しみなのです。
ボッケリーニと云えば「ボッケリーニのメヌエット」があまりにも有名で、
彼の残した膨大な作品にはほとんど注目されないことを残念に思う私なので、
ここは彼の作品を演奏することに意義を感じて、演奏活動の一つの柱として捉えていきたいと思っています。
彼のチェロソナタはまだまだたくさんありますから、
レパートリーは拡大の一途。
楽しみはまだまだ続きそうです。
2015.10.26